対人援助の現場でTCを活用する

対人援助の現場で

「対人関係ストレス」の高い援助職

医療・保健・社会福祉・介護・教育の現場は「対人関係」の課題が集中するのが特徴です。

患者・クライエント・利用者・児童や生徒との関係はもちろんですが……
むしろストレスをためてしまう原因として、職場内での同僚や上司・部下間の葛藤、多職種連携をめぐる葛藤、保護者をはじめとした関係者との葛藤などが、しばしば指摘されています。

こうした対人関係ストレスが蓄積されることで、疲弊状態になったりバーンアウト、そして離職にいたる場合もあるのです。

TCプログラムはどう援助職に役立つか
TCの講座は2008年にスタートしました。
その当初から、対人援助職や教育関係の方々の受講が非常に多くみられました。

看護師、保健師、精神科医、ソーシャルワーカー、リハビリテーション専門職、臨床心理士、カウンセラー、介護職、ケアマネジャー、保育士、小学校~高等学校教諭、大学で心理学・看護学・社会福祉学などを教える教員……。

養成講座まで進みファシリテーター認定を受けた人たちも、多くが対人援助職や教育関係者です。
これまで受講された方々のアンケートや、ファシリテーターたちの声をもとに、TCが何に役立つのか、まとめてみました。

・セルフ・モニタリング
まず「自分を知る」ことは、援助・教育の土台になる。
対人援助の場面における自分のスタイルが自覚でき、強みと弱みがつかめる。
弱みを補う方法や、さらに資質を伸ばすための課題とヒントが見つかる。

・ストレス対処
自分の気質特有のストレスの特徴を知り、ストレス状態に早めに気づける。
自分にあったストレス対処を工夫できる。
他の気質の人から、自分では考えつかなかったストレス対処の知恵が得られる。
さらに講座自体が、多忙な業務に追われ対人関係で疲れている人にとって、楽しみながら自分と他者を見つめ直し、自分の資質を肯定できるリフレッシュの機会になる。

・職場内のチームワーク
目的は同じでも、ちょっとした考え方や手順の違いなどで行き違いが起きがち。そんなときにお互いの違いを認めたコミュニケーションができるように。
「苦手な上司を説得する」プログラムは毎回反響が大きい。
チームのリーダーが、スタッフを理解したり配置やローテーションの組み方に役立てている例も。

・多職種連携
保健医療福祉の多岐にわたる分野で、さまざまな専門職の連携・協調の必要性が高まっている。連携スキルのトレーニングにTCは最適。
>>多職種連携とは
>>気質の違いを活かす、多職種連携教育

・コミュニケーションの技能向上
一人ひとりの気質の違いを踏まえたコミュニケーションが工夫できる。
自分とは異なるコミュニケーション・スタイルをもつ相手が理解できる。
相手を批判的に見るのではなく、どうしたら相手を「その気にさせる」ことができるかを考えられる。
これはサービス利用者との関係はもちろん、職場内の関係、多職種連携の土台になる。

・利用者にとってのゴール設定
「その人らしく」生きるために、必要なこと・優先順位は、人それぞれ違う。
支援や教育のゴール設定にあたり、既定のモデルにとらわれずに当事者のニーズをとらえられる。
その人にあった支援の計画が立てられる。
>>入門講座の詳細・お申込みはこちらです。
>>TCセミナー一覧はこちらです。

出張講座が可能です
チームワークと個人の資質を育て、コミュニケーションを円滑にするTC研修。
各分野のファシリテーターが援助・教育分野で行なっているプログラムのほか、講師を派遣しての出張講座も可能です。

対象者のニーズや時間設定、研修の目的に合わせてカスタマイズすることができます。
これまで、社会福祉法人や医療機関のスタッフ研修などの形で、出張講座を行なってきました。

TCプログラムは、対人援助職や教育関係者のコミュニケーションスキル育成、多職種連携のスキルトレーニングに適しています。介護支援専門員/主任介護支援専門員の更新研修(演習)としても、おすすめです。

くわしくはお問い合わせください。
電話でのお問い合わせは、080-5684-4949 平日10:00~18:00

>>講座を受講した対人援助職の声はこちら

講座を受講した対人援助職の声

TC講座を受講した受講者の声を紹介します
ツールが工夫されていて、わかりやすく、身につきやすかったです。
職場のスタッフを理解することで、悩んだり腹が立ったりするのが減ると思いました。
(東京 団体事務局長)
違うカラーの発表を聞くとき、自分では自覚しにくい感覚なのでワクワクした。
自分についても、言葉に表現しきれない部分を同じグループの人が熱く語ってくれたので、「あぁ~コレかぁ」と気づいた。
(富山 精神科ソーシャルワーカー)
「相手を批判するのではなく気質で語る」ことの効果を実感し、今の自分がなぜストレスをためているかもわかりました。
仕事の調整のために活用できる。
(徳島 看護師長)
タイプ分けして終わりでなく、それが周囲との関係改善につながるところが素晴らしい。
援助場面で活用できる。
(秋田 保健師)
一人一人のカラーを想像することで、「だからこうなんだ!」と納得することがあった。そこがわかると、その人との関わりが変わる気がする。
チームで動く際に活用できると感じた。
(宮城 医療ソーシャルワーカー)
人の特徴の分類が「人間関係に活用できる」ということに感動しました。
すぐに仕事に応用できると思います。
(埼玉 援助職)
TCはカウンセラーとしての経験上わかっていることを改めて整理するツールになる。
会社などの管理職向けのプログラムとして役立ちそう。
(大阪 カウンセラー)
最初は上司にすすめられて申し込んだが、本を読んだところとても興味がわき、参加しました。
仕事柄、「相手はこういう人→こういう関わりが効果的→その関わりの評価……」と、相手の属性を決めつけるところから始めていたが、これからは相手のいろいろなカラーを探してみたいと思いました。
(東京 保健師)
職業柄、自分を見つめることが多かったが、また新しい視点で自己洞察を深めたくて参加しました。カラー調べのステップが進むごとに、これかな、あれかな、と変化し、グループワークで自分にフィットするカラーを見つけられた。
私の場合、第一カラーが強く出すぎると苦しいので、そんなときは他のカラーを思い浮かべてみたい。
(神奈川 看護師)
冷静で客観的な援助者になるため、自分の持ち味と強みを確認したくて参加。自分ってこうかなと漠然と思っていたことを、グループを通して納得して受け入れることができた。
また、ストレスを感じたときの背景がわかりやすくなり、今後の問題解決の力となると思う。
(千葉 保健師)
職場や被災地訪問などの人間関係の中で自分を守るため参加。すべてのカラーに等しく価値があり、考え方の相違は大きな問題ではないと感じた。
誰かに「ありがとう」を言うときに、真実味、重みを加えられる気がする。
(東京 被災地支援スタッフ)
仕事で、相手を批判的・否定的に見ていたのを、相手のカラーを考えることで変えられるかも。
(北海道 医療ソーシャルワーカー)
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福祉現場での導入例 介護スタッフ等のストレス軽減!

静岡県・社会福祉法人「信愛会」の取り組み

― TCプログラムを法人研修に導入し、職場に“共通言語”を

静岡県沼津市に本部を構える社会福祉法人信愛会では、保育・障がい・介護の11施設を運営し、40年以上にわたり地域に根ざした福祉事業を展開しています。

この信愛会では、職員研修の2本柱のひとつとして「コミュニケーション力向上研修」を位置づけ、2008年よりTCプログラムを導入しました。
以降、法人内の多くの職員がTC講座を受講し、2025年度時点で全職員約9割以上がTCプログラムを体験しています。

対人関係のストレスを軽減するために

福祉の現場では、利用者や家族とのやりとり、そして職員同士の関係など、人と人とのコミュニケーションが避けて通れない重要な課題です。

かつては、言葉のすれ違いや価値観の違いから誤解が生まれ、それがストレスになって離職につながるケースも少なくありませんでした。
「もうこれ以上我慢できない」「合わないから辞めます」―― そんな声が現場からあがっていた時代に、TCプログラムは、関係性の行き詰まりを解く糸口として注目されたのです。

導入初期から、現在まで

2009年、職員の中からファシリテーターが育成され、法人内での講座実施がスタートしました。
2010年には、課長級以上の役職者を対象とした「入門講座」を実施。理事長を含む全役職者が参加し、管理職層にもTCの意義と体験的な効果が伝わったことが、継続的な導入の大きな後押しとなりました。

その後、TC入門講座は「コミュニケーション力向上研修I」、実践講座(対人関係・ストレスケア)は「同研修II」として信愛会の研修体系に正式に組み込まれ、継続して実施されています。
常勤・非常勤、職種を問わず、事務職員や調理員、労務職員まで、全職員を対象とした研修です。

TCが職場にもたらした変化

TCプログラムを通じて得られた変化として、次のような声があがっています:

■ ストレスの軽減

気質の違いという視点で相手の言動を捉えることで、「なぜこんな行動を?」という疑問が理解に変わり、怒りや自己否定のループから解放されるようになったという声もあります。

■ 問題解決がスムーズに

自分とは異なるカラーの意見を聴くことで、問題の見方に広がりが生まれます。課題の核心が明確になり、解決へのアプローチも柔軟になります。

■ コミュニケーションの質が変わる

「自由にやっていいよ」という一言が、相手にとっては“放任”や“不安”につながることも。TCプログラムは、こうした“伝わりにくさ”を可視化し、伝え方・受け止め方の精度を高めるきっかけとなっています。

共通言語としてのTC

今では、法人内のさまざまな場面で「気質を共通言語として話すこと」が自然に行われています。
講座で使われた模造紙やワーク資料が掲示されることもあり、それをきっかけに会話が生まれるなど、職場の風通しを良くするツールとして定着しつつあります。

これからも、“違いを活かす”職場づくりへ

TCプログラムに参加することで、「私は私でいい」と感じられた職員がいるように、TCは単なる研修ではなく、自分を見直す体験の場にもなっています。

信愛会では今後も、「違い」を前提とした協働のあり方を追求しながら、TCプログラムを通じた学びと対話を続けていく予定です。

相談窓口で活かす 「ハラスメント・暴力・支配のない関係へ」

「支配―被支配」から自由になる関係性とは

 対人支援にTCプログラムがもたらす視点の変化

DVやハラスメントの相談に携わる対人支援の現場では、相手の言動に強く影響され、自己肯定感を失っている人と出会うことが多くあります。
「なぜ人は人を支配しようとするのか」「支配されない関係を築くにはどうすればいいのか」――このような問いの中で、自他を尊重する関係の土台として注目されてきたのがTCプログラムです。

■ 自分を責める視点から、自分を信じる視点へ

TCプログラムでは、4つの気質を手がかりに、自分の反応や感じ方に丁寧に目を向けていきます。
「自分にはどんな強みがあるのか」「何に安心し、何にストレスを感じるのか」――そうした問いに向き合うことで、これまで“直すべき弱み”とされてきたものが、実は自分を支えてきた「持ち味」であったと気づく人も多くいます。

「自分を変えなければ」と努力してきた人ほど、気質という視点を通して「自分はこのままでよかったんだ」と腑に落ちたとき、表情や関係性に変化が生まれます。
自分を信頼することが、対人関係のあり方を変えていく一歩になるのです。

■「すぐ逃げるべき」は正解か? 支援現場にある“答えの押しつけ”

対人支援の中では、「相手のためを思って」という善意から、支援者自身が“正解”を持ち込みがちな場面があります。
たとえば、DVの相談に対して「すぐに逃げるべき」と決めつける支援は、時に相談者を追い詰めてしまうこともあります。

TCプログラムでは、そうした「外からの答え」ではなく、当事者がこれまでどうやって生き延びてきたのか、その中にある力や工夫に目を向ける視点を育てていきます。
「この人は何を大切にしてきたのか」「どんな気質が、この人の中にあるのか」――そうした関心を持つことで、過去の時間や選択に意味を見出し、自分自身を尊重する力が育っていきます。

■「目的は同じなのに、対立する」――その背景にある気質の違い

支援や対等な関係を大切にしている専門職同士であっても、価値観や方法論の違いからすれ違いが起きることがあります。
目的が同じでも、伝え方や進め方のスタイルが違うことで、「どうしてわかってくれないの?」という摩擦が生まれる。これも、気質の違いを前提にしていなければ、避けられない状況です。

TCプログラムでは、自分自身の気質と他者の気質を体験的に理解することで、こうしたすれ違いや対立を“個人の問題”ではなく“関わり方の違い”として捉え直していきます。
その結果、「正しさ」で押し合うのではなく、「違い」を尊重し合う関係性を築く土壌が生まれます。

■ 「八方美人」から「調和を大切にする人」へ

TC講座では、参加者の中で自己評価が変化していく瞬間が多く見られます。
たとえば、「私は八方美人で、自分がない」と感じていた人が、自分の中に「調和タイプ」の気質を見出し、「人間関係を大切にしようとしてきた自分」に肯定的な意味づけをし直すことで、表情が明るくなる場面もあります。

また、他の参加者の言葉に触れて「人って本当に違うんだ!」と実感することで、過去の人間関係を見直したり、新たな関わり方を模索し始める人もいます。

■ 違いを尊重する関係づくりのスタートに

TCプログラムは、「違いを否定しない」という視点から始まります。
人はそれぞれ、安心できる関わり方やストレスの感じ方が異なります。
だからこそ、誰かに「こうあるべき」と押しつけるのではなく、「自分がどうありたいか」「相手はどう感じているか」を丁寧に探っていく姿勢が大切です。

自分の持ち味を理解することは、他者を理解する第一歩です。
対人支援や人間関係に悩む多くの人にとって、TCプログラムは「関係性を変える力」を思い出すための、大切な学びの場となっています。